大石病院通信

広島県福山市川口町の大石病院です

糖尿病教室「糖尿病と眼のおはなし/歯が痛くなくても歯医者に行こう」

3月12日(月)13:30~ 当院のリハビリ室にて糖尿病教室を開催しました。

  

 今回、堀病院 副院長・眼科の小林 賢 先生に糖尿病と眼についてお話ししていただきました。

 

糖尿病の合併症のひとつに、網膜症があります。名前はよ~く聞きますが、網膜にはどんな役割があるかご存知ですか?

網膜は、見た映像を受け止める場所であり、私たちの目をカメラに例えると、フィルムの役割をしています。

 

網膜症が進んでいくと、フィルムがボロボロになっていくのと同じで、「最近視力が落ちてきたな」と感じメガネを調節しても見え方は変わりません。それは、メガネはレンズの機能を助けているものであって、フィルムを交換することにはならないからです。

 

 日本には糖尿病患者さんが約1,000万人いると言われており、そのうち網膜症のある患者さんは約200万人。さらにその中で網膜症の治療を受けている人は約100万人と少ないのです。

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糖尿病網膜症は写真にあるように、1単純網膜症→2増殖前網膜症→3増殖網膜症 と進んでいきます。

3の状態になって初めて、目が見えないという症状が出てくるので、初期の状態では自分で網膜症に気づくことが難しいのです。それが、治療を受けている人が少ない原因のひとつです。

 

 そして、見えないことに気づいた時に治療を開始しても視力は戻りにくくなってしまっているのです。

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糖尿病網膜症の症状には、視力低下・かすみ・飛蚊症・緑内障などがあり、

特徴は①両方の目に病気が出る

   ②メガネをかけても見えない

   ③ひどくならないと症状が出ない

   ④視力がゆっくりと落ちるため気づかない の4つです。

網膜症の早期発見と悪化を防ぐことが、視力を守ることに繋がります。そのためには、血糖値や血圧を落ち着けることに加えて、症状がなくても眼科を受診することが大切です。

 

 

つづいて、菜摘子先生から糖尿病と歯周病についてお話しがありました。

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一見関係の無さそうな 糖尿病と歯 ですが、研究から、糖尿病の人はそうでない人に比べて2.6倍歯周病になりやすいことが分かっています。

 

歯茎が腫れたり下がったりするのが歯周病ですが、重度の歯周病を放っておくと、糖尿病を悪化させることや、心筋梗塞や腎症の発症や進行に影響があることも分かってきています。

 

 みなさんは、朝起きたら口の中がネバネバする

      口臭が気になる、歯肉がかゆい・痛い

      かたい物が噛みにくい、歯の間に食物が挟まる

というようなことはありませんか?歯を守るために、日ごろから注意して歯をチェックするようにしましょう。症状がなくても歯科を受診し口内を綺麗に保つことで予防に繋がります。

 

 

最後に、糖尿病連携手帳を紹介します。

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眼科や歯科を受診するときにみなさんに持参して頂きたいのが、この手帳。みなさんの糖尿病の状態や、検査結果を書き込めるようになっています。

また、眼科や歯科での検査や状態も書き込めるので、この手帳を先生に渡すだけでどのような状態か一目瞭然です。

 

まだこの手帳をお持ちでない方や、近々眼科や歯科に行く方など、その日のうちにお渡しできますので、診察のときに教えてくださいね!

 

綺麗な景色を見たり、大好きなあの人の顔を眺めたり、思いっきり歯を見せて笑うことができるのも、健康な眼や歯があってこそ!!症状がなくても眼科や歯科を受診することが大切ですね!