暑い夏、素足ですごす「はだし生活」を送っている方も多いのではないでしょうか。今日はちょっと足のお手入れについて考えてみたいと思います。
まずは、足をしっかり観察してみましょう。そこに傷はできていませんか?糖尿病があると足の傷に対する早めの治療がとても大切なのですよ。
糖尿病と足は、切っても切れない関係があります。なぜかというと血糖値が高いと「神経」と「血管」への影響が出てくるからです。「神経」は脳からの刺激をからだのすみずみまで伝えたり、または反対にからだの情報を脳に伝えたりして全身を維持しています。一方、「血管」は心臓から送り出された血液を全身に運ぶため全身に張り巡らされています。
そこで質問です。からだの部位で脳と心臓からいちばん遠いのは、どこだと思いますか?
正解は‥‥足です。
どうやらこのあたりに、糖尿病と足の関係を紐解くカギがありそうですね。ではここからは、ひとつずつ糖尿病との関係をみていきましょう。まずは「神経」からです。
【糖尿病神経障害】
糖尿病によって引き起こされる合併症に「糖尿病神経障害」があります。糖尿病神経障害は、高血糖状態が原因で末梢の神経を傷めてしまう病気で、糖尿病の比較的早い時期(糖尿病になって数年~10年後)から発症し始めます。
神経は長ければ長いほど高血糖の影響を受けやすいため、まず最初にダメージを受けるのは足先の神経となります。そのため症状は、最初に足先から始まり徐々に足の上の方に向かって進行していきます。これは左右の足先同時にしびれや痛みを感じることからはじまります。さらに神経障害が進むと感覚が低下してしまいます。すると、足先に傷があってもなかなか気付きません。しかも足の先や裏などは、普段あまり気にとめることはありませんし、靴や靴下を履いているため傷の発見がその分、遅くなりがちです。実際に釘を踏んだのに気がつかなかったとか、やけどをしたのに気がつかなかったという信じられないことが起こり得ます。
また自律神経の障害が起きてくると足の裏に汗をかかなくなり皮膚が乾燥するため足の裏にひび割れや亀裂ができ、そこから傷が広がる原因となります。
【閉塞性動脈硬化症】
もう一つ糖尿病によって引き起こされる合併症に「閉塞性動脈硬化症」があります。閉塞性動脈硬化症は、足や手の動脈(血管)が動脈硬化によって狭くなったり詰まったりして血液の流れが悪くなりさまざまな症状をひきおこす病気です。
糖尿病が長年にわたると動脈硬化が進み足先の血流が悪くなり、傷はなかなか治りません。また、血流が途絶えてしまうと、そこから先の組織は生きていけなくなるので短期間のうちに壊疽へと進行し、ひどくなると切断しなければ生命の危険にさらされてしまうケースもあります。
【感染症にもご用心】
高血糖状態ではさまざまな感染症にかかりやすくなります。例えば水虫などにもかかりやすくなりますし、健康な人ならすぐに治るような傷ややけどに対しても細菌感染を起こしてしまうこともよくあります。
いったん感染症にかかってしまうと、傷の治りがますます悪くなり、壊疽に進行してしまう危険が増えます。
【自分でできるフットケア】
糖尿病は症状がないまま進行することが特徴ですが、足に注目すると糖尿病の合併症のサインにいち早く気づくきっかけとなります。そのため「足は全身を映す鏡」ともいえます。では自分でできるフットケアをご紹介していきましょう。
① 毎日自分の足を見ましょう
毎日行うことで、ちょっとした足の変化に気付くことができます。
② 足を清潔にしましょう
毎日入浴して足を清潔にすることが感染予防となります。
③ 足を乾燥から守りましょう
適切な保湿ケアは、皮膚のきめを整え防御機能を高める効果があります。保湿クリームを毎日欠かさず塗布することで、皮膚の状態が改善し、ガサガサした踵はスベスベになり、硬いウオノメやタコは嘘のように柔らかくなります。
この夏をきっかけにご自分の足をよく観察し、毎日のお手入れを習慣づけてみてくださいね。