大石病院通信

広島県福山市川口町の大石病院です

あなたの「いびき」大丈夫?

 寝ている間のいびきや呼吸が止まっていることを指摘されたことはないですか。もしかしたら、それは睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気かもしれません。

 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が弱くなったり止まったりを繰り返すために、睡眠の質が低下して日中の眠気が出たりする病気です。これは交通事故の原因にもなるため社会問題にもなりました。日本で初めてこの病気が注目されたのは2003年に起きた山陽新幹線の運転士による居眠り運転でした。運転手が眠ったまま新幹線は時速270kmで8分間走り続け、新幹線が自動的に停止した後も運転士は眠ったままで車掌に起こされるまで意識がなかったといいます。その後の検査で、運転士は睡眠時無呼吸症候群と診断されました。

 またこの病気では睡眠中に低酸素状態となります。まあ、考えてみたら呼吸が止まっているのですから当然のことです。この状態が長年にわたり続くと、高血圧や心筋梗塞を発症するリスクが高まることが知られています。

 高血圧について見てみると、睡眠時無呼吸症候群の3~7割に高血圧が合併し、反対に高血圧患者さんの3~5割は睡眠時無呼吸症候群を合併していることがわかっています。高血圧患者さんのなかには、降圧薬を利尿剤を含め3剤以上使っている方もいますが、こうした難治性高血圧ではなんと6~8割に睡眠時無呼吸症候群を合併しているというのです。

 睡眠時無呼吸症候群は糖尿病とも関係しています。『糖尿病ライフさかえ4月号』の特集は「睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係」です。2型糖尿病患者さんの4~8割は睡眠時無呼吸症候群を合併しています。また、睡眠時無呼吸症候群は糖尿病の合併症を悪化させる可能性も指摘されています。

 この病気を疑ったときに最初にする検査は簡易検査とよばれるもので、睡眠中に口元や手に機器をつけて行いますが、入院せずにご家庭で簡単にできます。この検査で診断がつく人もありますが、必要であればその後1泊入院での精密検査となることもあります。

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自宅でできる簡易検査

 

 治療法はCPAP(シーパップ)という鼻にマスクを装着する機械をつけて寝るものになります。このマスクから空気が送り込まれることで、呼吸が止まることを防ぎます。なんだか大変な治療に思えるかもしれませんが、これをつけるとぐっすり眠れて翌日もすっきりしていると言って手放せなくなる人が多くいらっしゃるくらい効果を感じて頂ける治療法なんです。もしかしたら睡眠時無呼吸症候群かも?と思ったら診察時にご相談ください。