5月27日(月)、2019年度初回の糖尿病教室を行いました。
今年度もみなさんのご参加お待ちしています!
今回は「藤原道長もエジソンも糖尿病だった 糖尿病ってどんな病気?」と題して、
・糖尿病治療の変化
・現在の糖尿病治療で大切なこと
などをお話ししました。
糖尿病は遥か昔からある病気で、最古の記録は紀元前1550年のエーベルス・パピルスに書かれています。現在、糖尿病が疑われる時や診断された時に自覚症状はほとんど無いですが、昔は高血糖の症状である口渇・多飲・多尿が出て初めて気づく病気でした。
糖尿病の早期発見には血糖値の測定が関係します。血糖値は1900年頃から測定可能となりましたが、当時は300mlの血液が必要なうえ結果は2日後。比較すると現代はとても少ない血液量で短時間で測定でき、早期発見にひと役買っています。
現在「全世界で11人に1人が糖尿病であり、そのうち2人に1人は自分が糖尿病と知らない」と言われています。早期発見ができれば、合併症が出る前に治療を開始できます。日本で最初に糖尿病と分かったといわれる藤原道長は、高血糖状態が続き皮膚のできものが感染症を起こしたのが原因で亡くなったそう。高血糖状態が長く続くとさまざま合併症が起きます。合併症を予防するには「自覚症状が無くても治療を続けること」が大切です。
さて、現在「インスリン」は糖尿病薬として浸透していますが、1921年にインスリンが発見されるまで糖尿病に治療薬は無く、「食事と運動」が頼みの綱でした。
紀元前300年に運動は効果的だと記したインドの医師もいて、大昔から運動の効果は知られていたようです。(実際に効果が科学的に証明されたのは1870年頃)ちなみにあの有名な発明家エジソンも糖尿病でしたが、彼は運動の効果は全く信じていなかったとか…(笑)
食事療法では18世紀おわりに肉食療法が登場。同時に食欲抑制のためになんとアヘンが使われていました。そして、20世紀初頭まで肉・油を主体とし、糖質を制限する食事療法が続きましたが、この食事療法を続けると糖尿病昏睡(意識を失う)を起こす危険を伴うことがわかってきました。
糖尿病昏睡は、高血糖と脱水やインスリンの不足から引き起こされます。これからの季節、水分をこまめに摂って脱水を防ぎましょう。でも、スポーツドリンクを飲むと高血糖の原因となるので気を付けましょう。
このように長い時間をかけて変遷してきた糖尿病ですが、現代糖尿病とは「インスリン作用不足による慢性高血糖状態を主徴とする代謝疾患群である」とされています。
治療の目的は、合併症を防ぎ健康な人と変わらない生活を送ること。
治療方法は、血糖値のコントロール(=高血糖の是正を続ける)です。
食事・運動・薬が血糖コントロールの基本ですが、薬に頼りすぎないように食事と運動でバランスをとりながら治療を続けていきましょう。
次回の糖尿病教室は7月29日(月)を予定しています。
そして、夏のオレンジ食事会は7月6日(土)です。この度夏の食事会の開催は1回のみとさせていただきます。奮ってご参加ください!