大石病院通信

広島県福山市川口町の大石病院です

糖尿病患者さんが手術を受けるとき「さかえ3月号より」

 みなさん、こんにちは。
 日本糖尿病協会が発行している月刊誌「さかえ」をご存じですか?さかえには全国の糖尿病専門医、看護師、栄養士などがわかりやすく書いた、糖尿病治療の新しい情報や必要な情報が満載です。当院の糖尿病友の会「オレンジ」に入会すると毎月お手元にお届けできます。

 さて今回は、3月号の特集「糖尿病患者さんが手術を受けるとき」から、さかえを読んでいる方にも、まだ読んでいない方にも、その内容を少しご紹介しつつ当院での実際をお話してみたいと思います。

 当院では整形外科の手術が年間100件程度行われています。手術症例数 - 大石病院

その中には糖尿病治療中の患者さんも多く含まれています。骨折の手術は、ある日突然決まります。なぜなら骨折はある日突然おこるものだからです。当院では緊急手術とまではいかなくても、数日後に手術の予定が組まれることとなります。

 手術を安全に行うためには、手術前から血糖値がよくないといけません。その基準は

  • 空腹時血糖値100~140mg/dL
  • 食後血糖値160~200mg/dL 
  • 尿ケトン体陰性

とされています。毎月の診察で検査をしたときに食後血糖値が200mg/dLを超えていない状態なら大丈夫といったイメージでしょうか。

  • 空腹時血糖値200mg/dL以上
  • 食後血糖値300mg/dL以上 
  • 尿ケトン体陽性

 この場合は可能であれば手術延期となります。骨折して痛いのに、血糖値が改善するまで待たないといけないかもしれないのは辛いことです。

 私の今までの経験では、他院で癌がみつかり手術をしなくてはいけないのに血糖値が高いためにすぐにはできず、当院で数週間から1か月入院してインスリンを使って血糖コントロールをしてからようやく手術日が決まるということが何回かありました。手術を待つ患者さんやご家族の不安や焦りが強く、私たち医療者は患者さんに励ましの声をかけながら1日でも早く血糖値が落ち着くことを願って治療に当たることになります。願わくはこうならないためにも普段からの血糖コントロールには注意をしていただきたいと思います。

 さて、手術が無事終了した後、手術前よりも血糖値が高くなりがちです。入院して病院食しか食べてないにもかかわらずです。それはなぜかというと、手術のストレスが原因で普段よりも血糖値が高くなるからです。術後の高血糖は感染のリスクを高めるためなんとかしないといけません。そこで術後しばらくはインスリン治療を併用しながら治療に当たることもあります。

 さかえの特集では、胃がんなどお腹の手術を受ける際のことが詳しく書かれています。お手元にある方はぜひ読んでみてください。さかえについては下記のホームページに詳しく書かれています。

月刊誌「さかえ」とは|公益社団法人日本糖尿病協会 (nittokyo.or.jp)

 

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