大石病院通信

広島県福山市川口町の大石病院です

糖尿病教室「カモンベイビーう・ん・ど・う」

11月も終わりに近づき寒さを感じるようになりました。外での運動は気候に左右されることが増え、運動前後の体調にも細心の注意が必要です。また 今年の世界糖尿病デーのテーマは「サルコペニア」、標語は「筋肉量保って伸ばそう健康寿命」でした。加齢や病気による筋力低下・身体機能低下が問題となっています。そこで、11月12日に開催した糖尿病教室では「運動療法の注意点」と、家の中でも行える「スロージョギング」を紹介しました。

 

今回スロージョギングを教えて下さったのは、びんご元気プロモーション代表の坂本誠先生(スポーツ健康科学博士)です。スロージョギングとは、時速6㎞未満で走るランニング法です。これは普通歩くスピードと同じですが、消費量はウォーキングの約2倍になります。

 

健康な脚を手に入れるためには、太ももの前側の筋肉が一番重要です。この筋肉を鍛えるためにスクワットとスロージョギングに取り組んでみましょう。

 

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スクワットはしっかりしゃがみこまないといけないと思われがちですが、まず始めは自分にとって無理のない深さまでしゃがみこむところから開始しましょう。1秒でしゃがみ、1秒で立つというリズムです。バランスのとりにくい方は机など安定しているものに手を掛けて、ゆっくりと行ってください。まずは10回から始めて、徐々に回数を増やしましょう。目標は「少しきついなぁ」と感じられる程度です。

 

スクワットに慣れてきたら、スロージョギングに挑戦してみましょう。

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スロージョギングは笑顔でおしゃべりができる程度のゆっくりペースが目標です。歩幅は約10㎝、歩くスピードで走るというイメージです。腕は自然に振り、指の付け根から着地します。

 

スクワットもスロージョギングもこれからの寒い季節、家の中で十分行えます。運動はまとめて10分しても1分を10回しても、効果は同じです。テレビのCM中や料理の合間など少ない時間で回数を重ねてみましょう。

 

 続いて当院看護師からお話させていただいた「運動療法の注意点」です。こまめに水分摂取をすることや準備体操・整理体操をすること、つい見逃してはいませんか?運動して汗をかくと体内から水分が失われ脱水状態になります。血液の粘度も増してくるのでこまめな水分補給が大切です。また、運動前後の体操は、筋肉・血液循環・呼吸など身体への負担を減らしてくれます。

 

糖尿病患者さんは次のことにも注意が必要です。

まずは運動前の注意点 ↓

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運動するときの靴選びも重要です。足の指がしめつけられない・爪先が当たらない・足の甲が圧迫されない・踵の余りや窮屈感がない・足首と靴の間に隙間ができないものを選びましょう。

 

次に、運動中~運動後の注意点です。

運動による血糖値を下げる効果には急性効果と慢性効果があり、その効果はしばらく持続すると言われていますが、どのくらい持続するでしょうか?

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血糖値を下げる効果のある薬を内服している方やインスリン注射を行っている方は、運動中や運動後に低血糖が起こる可能性があるので注意が必要です。特に激しい運動の後は次の日の明け方に低血糖が起こることもあります。血糖値を測ることが出来る方は、運動と血糖値の関係を知るためにも、運動前後に血糖値を測り変動を見てみましょう。

 

これからの季節寒くなりますが、運動するときに始めから薄着で外に出てしまうと風邪を引いてします。始めは温かい格好をして、身体が温まったり汗が出てきたら徐々に脱ぐようにしましょう。

 

スクワットとスロージョギングで、筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動と糖質や脂肪を燃焼させる有酸素運動の併用になります!運動することで心肺機能が上がったり、ストレスが軽減したりします。また、歩数計をつけたり体重測定をしたりして身体の変化を知り、運動の効果を実感していきましょう。

 

 

次回の糖尿病教室は来年の3月となっています。

寒さの厳しい季節が続きますが、生活に運動も取り入れながら健康に過ごしてください。